東山植物園の珪化木とシモバシラ

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久しぶりに名古屋市の東山動植物園に行ってきました。私は植物はほとんどわかりませんが,シモバシラの白い花が咲いているのに惹かれました(撮った写真はピンボケでした:図2の左側)。シモバシラという変わった名前の植物を知ったのは,以前につくば実験植物園を訪れ,そこの研究者の方に教えていただいた時です。10月上旬くらいまで白い穂状の花が咲き,冬になると地上にある部分は枯れてしまいます。でもシモバシラは枯草状の根元付近にできる氷の花(霜柱?)が特徴です。これはシモバシラの根から吸い上げられた水分が枯れた茎から滲み出し,外気に触れて凍ったものです。シモバシラのように茎が硬くて導管が崩れにくい種類では毛細管現象で地中から水が上がってくるからだそうです。冬季にみられるのですが,日が昇り暖かくなると融けてしまいますし,雨が降ってもダメなようで観察できる条件は結構むつかしそうです。そこで以前,つくば実験植物園で撮ったもの(図2右側)を並べてみました。

「湿地園」の付近で珪化木の展示を見つけました。産地は書かれていないのが残念ですが保存の良いものです。珪化木は材組織がSiO2成分に置き換えられて,組織を残したまま硬くなった化石です。名古屋周辺でも転石(礫)としてよく見られます。成因についてははっきりしませんが,条件次第ではかなり短期間で形成されるようです。珪化木について詳しい説明は,資料の名古屋地学81号を参照してください。植物園の温室は2006年に国の重要文化財に指定され,きれいになっていました。

図1 東山植物園の珪化木
図2 シモバシラ 東山植物園(10月)                      
シモバシラ つくば実験植物園(1月)

植物園の丘陵頂部に上っていく途中の斜面に,小さな露頭が何カ所か見られます。礫層で八事層と思われます。礫の表面が白く風化を受けたものが多く,基質部分は赤褐色の粗砂になっています。丘陵の谷間にあたるところは,動物園から植物園のほぼ全域にわたって八事層より下位の矢田川層猪高部層が分布しています。動植物園の星が丘門付近では猪高部層中に濃飛流紋岩類の礫が見られ,隣接する椙山女学園大の構内にも見られます。濃飛流紋岩類は風化を受けて“くさり礫”状態の時が多いのですが,この付近では新鮮な礫が見られます。

図3 東山植物園「お花畑」付近で見られる八事層

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