地層を見に行ったついでに,路端に生えている植物を紹介していただきました。しかし,しっかりと観察する時間もなく,メモも取らなかったので,同定には自信がありませんが紹介します。誤りをご指摘いただけると幸いです。
コセリバオウレン 小芹葉黄連
Coptis japonica
多年草で山地の林内でよく見られ,花期は2~3月です。コセリバオウレンは大きな葉が三回三出複葉*です。根茎は黄色で,薬用とされます。全体に無毛で,葉は薄く,鋭鋸歯縁*,花は白色で横向きにつきます。大きな5個の花弁に見えるのは萼片で,内側に小さな8~10個の花弁があります。雄しべは多数あります。
*三出複葉:葉柄の先端に3枚の小葉がつく複葉
です
*鋸歯縁:のこぎりの歯のようにギザギザになっ
ている葉のふち。

フユノハナワラビ 冬の花蕨
Botrychium ternatum
日当たりのよい山地,原野,道端で見られます。葉状体*を年に1個出し,8月から緑色の新葉を伸ばしはじめ,その後,花茎のような葉を伸ばします。夏に枯れて秋から冬にかけて林の中で緑色の葉を伸ばす(冬緑性)シダ植物です。根茎*は短く,直立します。栄養葉は,長さ5~10㎝,幅 8~12㎝のほぼ五角形で, 3~4回羽状に深裂し,ほぼ無毛です。胞子葉は栄養葉の茎の中間につき,茎の長さは12~25㎝で,球形の胞子嚢を多数つけます。
*葉状体:茎と葉が分かれていない体。コケ類,
地衣類,藻類,菌類などに用いられます。
*根茎:地下茎の一種。地中または地表をはい、
根のように見える茎。

ヒカゲノカズラ 日陰鬘
Lycopodium clavatum
広義のシダ植物で,山野に自生する多年草です。つる状ですが,地表をはい回っています。針状の細い葉が茎に一面に生え,細長いブラシのような姿です。茎には主茎と側枝があり,主茎は細長くて硬く,地表を這いながら,所々から根を出し,茎を地上に固定しています。表面には一面に線形の葉が着き,ほぼ開出*しています。湿った日なたの傾斜地によく生えますが,あまり湿地には生えず,林道周辺などでよく見かけます。
*開出 枝に対して立ち上がるようにつく特徴
センボンヤリ? Leibnitzia anandria
和名は秋の閉鎖花*が槍のように高く伸びることからつけられました。多年草で葉はロゼット*をつくり,丘陵地などの日当たりのよいところで見られます。高さは春5~20㎝,秋30~60cmです。春の花(4~6月)は丈が低く,秋の閉鎖花の半分以下の高さです。春咲きの葉は根生します。秋の花(9~11月)は細い筒状花だけからなる閉鎖花です。
*閉鎖花:花冠が開かないまま自家受粉して結実
する花です。花弁や雄しべが,減少したり欠
失しているものが多い
*ロゼット:地面に葉を放射状に広げて、冬も緑
色の葉を保つ植物の状態
*根生:茎が短く葉が根元からでているように見
えること
*筒状花:花びらが合わさって筒状になった花

コウヤボウキ? Pertya scandens
三河の山には多く,普通に見かけられます。茎は細くてしなやかで,短い毛が生え,葉にも短い毛が生えます。葉は互生し,小枝の上に集まります。葉身は線形をはじめ,いろいろな形で,縁も全縁~歯状~小歯状です。頭花*はほぼ無柄で,総苞*は鐘形又は円筒形です。冠毛*は剛毛で多数あります。
*頭花:多数の花が集まって1つの花のように見
える
*総苞 花(花序)の基部を包む苞葉(花序を抱
く特殊化した葉)の集まり
*冠毛:植物の種子に生える毛状の突起で,萼が
変形したもので,果実が熟したときに種子を
散布するのに役立ちます。
撮影:2025年2月23日 撮影場所:新城市川合地区
解説は主に Webサイト 三河の植物観察を参考にしました。 https://mikawanoyasou.org
コメント