雑記024 舞鶴市赤レンガパークとレンガ(煉瓦)

雑記

舞鶴帯の地層を見に出かけた(別稿「記事029 舞鶴帯の地質見学」)ついでに,久しぶりに「舞鶴赤れんがパーク」などを訪れました。京都府舞鶴市は旧海軍基地で,現在も海上自衛隊の施設がたくさんあります。その中で観光の目玉ともいえるものが,「舞鶴赤レンガパーク」(以前行ったときには公開されていませんでした)と「赤レンガ博物館」です。「舞鶴赤れんがパーク」は赤れんが造り2階建て11棟,鉄骨れんが造り1棟があり,そのうち8棟の赤れんが倉庫が国指定重要文化財に認定され, 2012年にオープンした施設です(図1・図2)。無料の駐車場も広く,赤レンガ博物館へも歩いていけます。1902年に建設されたものは,砲銃庫,弾丸庫並小銃庫,雑記庫並小銃庫として,1918年に建設されたものは舞鶴鎮守府軍需部倉庫として使われました。

図1 赤レンガ倉庫群
図2 解説板

「舞鶴市立赤れんが博物館」は,旧舞鶴海軍兵器廠魚形水雷庫として,日露戦争直前の1903年に建設されたもので,1993年にオープンした世界でも初めてという,「れんが」をテーマとした博物館です。少し離れたところには66万人余りの引揚者と16000柱の遺骨を迎え入れた港として「舞鶴引揚記念館」があります。

さて,レンガの原材料は粘土や長石などで粉砕,混合してから水や骨材(粘土や砂など)と混ぜ合わせます。成形後,乾燥させ,焼成して作られます。焼成レンガは原料中の鉄分量や焼成時の酸素量によって色が変わり,日本では一般的に赤褐色となります(図3)。レンガは,土を焼き固めた素材なので炭素を含んでおらず,耐火性に優れています。そのため,レンガは釜や薪ストーブによく使われます。内部からの出火の場合は延焼を防ぎ,外部からの火の進入も極力防ぐことができます。このように,レンガは断熱性・耐火性に優れた素材であり,さらに,吸水性がとても低いため,耐水性が高く,また耐久性に優れているという特徴があります。高温多湿な日本において湿気にも強い素材として活用できるというメリットがあります。舞鶴の赤レンガ倉庫群の原材料がどこの産地のものかははっきりとは分かりませんが,通常は近くで採取します。すぐ西を南北に流れる由良川右岸の砂を原料としてレンガを焼いていた神崎煉瓦ホフマン式輪窯が河口に残されています(見学は要予約)。

図3 赤レンガ(赤レンガ博物館で購入)
図4 「半田赤レンガ建物)

レンガ造りで有名な建造物と言えば,2014年に世界遺産に登録された富岡製糸場がありますが,愛知県でも,「半田赤レンガ建物」があります(図4)。「半⽥⾚レンガ建物」は1898年に丸三麦酒(現:カブトビール)の製造⼯場として造られました。改修後の2015年からは常時公開されています。

1923年に起きた関東大震災で多くの建物が被害を受け,それ以来「レンガは地震に弱い」との考えが広まり,少なくなったようです。

ちなみに,似たものにタイルがあります。レンガとの大きな違いは,原材料が粘土や砂などだけでなくセラミック,プラスチック,石材,大理石,瓦,セメントなど多くの種類があることです。

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