庭と言えないほどの小さな自宅の庭に梅の花が咲いていました。私には花を愛でる気持ちはとんとありませんが,青梅には毒があったような記憶を思い出して少し調べてみました。
「梅は食うとも核食うな,中に天神寝てござる」ということわざがあるそうです。梅の未熟な果実や種子(胚または仁:かたい種の中にある白い軟らかい部分)には,アミグダリンと呼ばれる物質が含まれていて,多量に摂取すると中毒症状を起こす可能性があるようです。アミグダリン自体は無毒ですが,食べると,植物中で青酸と糖が結合した形で含まれていた物質を,酵素が分解し,また,ヒトの腸内細菌がもつ酵素(β-グルコシダーゼ)によっても体内で分解され,シアン化水素(青酸)を発生させるようです。このように梅などの植物は攻撃され,細胞が傷つけられると,青酸を発生し,捕食者に害を与える(硬い種(核)ができるまでは,実を動物や人間に食べられないように守る)そうです。そのため,実が成ってしばらくの未熟な時期には,一番多くのアミグダリンを含有しています。梅干しや梅酒などに加工すると,アミグダリンが減少することが知られているため,よほど多量に食べない限りは健康に悪影響を及ぼすことはないとされます。このような自己防衛策を持つ植物は結構ありますね。ちなみに,梅は中国の江南地方を原産とするバラ科の落葉小高木で,奈良時代以前に薬用として中国から渡来したものが野生化したとする説が一般的だそうです。奈良時代初期に初めて日本へやってきたのは白梅で,紅梅は平安時代以降に入った考えられています。梅はほとんどの品種が自家不結実性(自分の花の花粉を雌しべに付けても実がならないという性質)を持っています。我が家の梅に実がなった記憶は私にはありませんが,以前は毎年,小さな数個の実がついていたようです。梅の木の隣ではオトメツバキの花も咲いており,キンカンの実も多くなっていました。
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