三重県松阪市の地層

記事

三重県松阪市与原町~飯福田町にみられる一志層群下部層と白米城断層を見てきました

#三重県 #松阪市与原町 #飯福田町 #白米城断層 #一志層群 #古田池砂岩層 #矢下礫層

三重県総合博物館の津村さんの案内で松阪市の地層や断層を見てきました。白米城はくまいじょう断層は,滝本(1935)に記載され,津村(1982)の調査報告があります。それらによると北東-南西方向の走向を持ち,北西側が落ちた正断層です。見学した露頭では断層粘土ははっきりしませんが,古田池ふったいけ砂岩層と片麻状花崗閃緑岩が断層で接しています(図1)。ハンマーの位置付近が断層で右側の白っぽく見えるほうが花崗閃緑岩で左側の茶褐色で細かく砕かれたようになっているのが古田池砂岩層です。飯福田いぶた町への峠付近でも観察できました。また,津村さんの採集した断層破砕部の標本も見せていただき,花崗岩類と泥岩を境する断層の破砕部の様子も観察できました。
 この付近は一志いちし層群下部の地層が分布しています。一志層群は新第三紀中新統の海成層で,瀬戸内累層群と呼ばれるほぼ同時期に堆積した地層の中では厚い地層を持つ特徴があります。今回見学したのは一志層群最下部をつくる波瀬はぜ層(柴田,1967)で,基底礫岩層の矢下礫岩やおろしれきがん層とその上位に漸移して重なる古田池砂岩層です。古田池砂岩層は無層理の粗粒の花崗岩質砂岩で下部には領家りょうけ変成岩類の大礫~中礫からなる礫層を挟みます。飯福田寺いぶたじ近くの露頭では矢下礫岩層の礫層が見られました。礫は中礫~巨礫まで見られ,基盤岩の亜角礫~円礫です。また,ここでは行者岩と呼ばれる面白い形をしたタフォニが尾根付近に見られます。露頭まで行くにはかなり歩くということで,今回は残念ながら遠望にとどまりました。
 

図1 白米城断層 与原町
図2 一志層群波瀬層古田池部層
図3 一志層群波瀬層矢下礫岩部層
図4 与原-飯福田周辺地質図 (津村,2022,名古屋地学会巡検案内書)

参考文献 柴田(1967) 三重県中部の中新統一志層群.地質雑,73(7),337-346.
     滝本(1935) 三重県一志郡地方の新生界. 地球,23,326-338.
     津村(1982) 日本地質学会第89回学術大会講演要旨
     津村(2022) 名古屋地学会第332回巡検案内書

コメント

タイトルとURLをコピーしました