オーストラリアの植物2 ユーカリ

雑記

#ユーカリ #オーストラリア #ブッシュファイヤー

コアラのエサで有名なユーカリ(Eucalyptus:図1)はオーストラリアを代表する樹木の一つです。オーストラリアの乾燥地(arid)ではブッシュファイヤー(野火)と呼ばれる火災がしばしば起きますが,ユーカリはこの火災に遭うとその後発芽を開始します。乾燥地域では図2のような警告板があちらこちらに見られます。ブッシュファイヤーでなく人為的に行われるコントロールファイヤーもあります。間近で見たことがありますがかなり迫力があります。
 ユーカリはフトモモ科Myrtaceaeに属し,800種以上あるといわれ,種の同定は私ではとてもできません。大量の油を含み,木材用や燃料用として世界各地で栽培されています。かつては薬用にも使われました。葉を手で揉んで,手のにおいをかぐと特有のにおいがします。シドニーの近くにブルーマウンテンと呼ばれる有名な観光地がありますが,このブルーにかすむ風景は,ユーカリの木から揮発する油成分が原因ともいわれます。(コーヒーのブルーマウンテンの名はカリブ海にあるジャマイカ国のブルーマウンテン山脈からです)
花はカップのようなふた(カリプトラ:ユーカリの学名のkalyptos=つつまれている の語源)が取れると咲きます。見出しの写真は,カップの下部(子房を取り囲む花床筒かしょうとう)が残ったもので,種類によって様々な形をしています。オーストラリアの乾燥地では乾季には河川の水は干上がってしまい,どこが河川なのかわからないことがよくあります。ユーカリが列をなして生育しているところは水がなくとも河川かなと見当をつけられる気がします。私がレンタカーで走って地図上の河川を見つける一つの方法でした。細長い葉をほとんど垂直に下に垂らして強い日射をさけているとか,葉の色が淡緑色のものが多いのも過剰な光合成を避けて⽔分の過剰な蒸散を防ぐためだと聞いたことがあります。樹皮は種類を見分けるのによい目印になり,例えば.なめらかな樹皮を持つ種はガムと呼ばれ,樹皮の色によって,サーモンガム(Eucalyptus salmonophloia:西オーストラリア南西部の乾燥地に森林を形成し,樹高25mに達する),ゴーストガム(Corymbia aparrerinja:クイーンズランド中西部からノーザンテリトリー南西部に分布:図4)などと呼ばれています。コアラが食用とするユーカリの種類は数十種程度に限られているそうです(図3)。オーストラリアの多くの動物園ではガラスの障壁もなく,手の届くような距離で見ることができますし,有料で抱かせてもらえるところもあります(私はなぜか無料でしたよ)。ただし,オスの胸には分泌物を出す胸腺があります(胸のところが茶褐色になっています)。そのにおいがつかないように注意したほうがよいそうです。

図1 キャップ(カリプトラ)に包まれた花芽と,それが取れた後に咲いた花
図2 ブッシュファイヤーの危険度を示す
コアラの親子
図4 ユーカリ(ゴーストツリー)

ユーカリに関して次のような資料を参考にしました。
  ユーカリ図譜,1986, M.Millett(鳥潟ほか 訳),愛知学泉大.
  Australian Trees,2002, L.Cronin
植物の世界 週刊朝日百科42,1995, B.G.Briggs et al.(太田ほか 訳)
オーストラリアの花1996,柳 宗民, JTB. 

ユーカリの花

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