白山手取川ジオパークへ行ってきました

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先日,北陸地盤工学研究会と応用地質学会中部支部の共催で白山手取川ジオパークの見学会に参加してきました。詳しいことは,後日,「資料 日本のジオサイト 白山手取川ジオパーク」(本ブログ)で報告する予定です。ここでは,見学会の目玉であった3カ所を紹介します。

図1 獅子吼高原から見た手取川扇状地(西半分)

石川県白山市は手取川の扇状地にあります。その扇端に近いJRの松任駅から扇頂に向かって走っていくと,田の面がだんだん高くなっていくのがはっきりとわかります。段々畑ならぬ「だんだん田んぼ」です。扇頂付近ある高台(鶴来町獅子吼つるぎちょうししく高原)からは扇状地がきれいに見られ,日本海まで望めます。また,特に左岸にはきれいに並んだ霞堤(不連続な堤防)が見られます。豊橋市の霞堤も有名ですね。洪水時には,この不連続なところから洪水が逆流して滞留することから,洪水調節の効果があることや,不連続になっているところから氾濫した水が河道に戻されて氾濫域が限定され水害が軽減されることなどに役立つといわれます。土木学会の平成24年度「選奨土木遺産」に認定されました

図2 桑島化石壁

白山市桑島には古くから桑島化石壁があり,植物化石の産出が有名でした。私が初めて行った50年前は手取川ダムに沈む前で誰も通らない旧道に「桑島化石壁」と書かれた杭が倒れていました。現在は恐竜をはじめ,多くの植物化石や貝化石が発見されています。砂岩・泥岩からなる前期白亜紀の手取層群です。がけ崩れの危険が高いため立ち入り禁止になっており,今回は許可を得て露頭に触れることができました。

図3 白山地すべり地帯

白山南西斜面の甚之助谷・別当谷などの標高1400~2000メートルの高山地域では,大規模な地すべりが現在も活動しています。白山火山の活動の影響を受けた手取層群などの変質帯で大規模な崩壊地を形成しており,昭和初期から堰堤が築かれています。現在は下流にある手取川ダムを守るため砂防堰堤の倒壊を未然防止する目的で地すべり土塊と岩盤の間にある被圧地下水を排水トンネルなどで排除しています。今回は国交省の方の案内で工事用道路を使っての見学ができました。なお,甚之助谷砂防堰堤群は土木遺産に認証されています。

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