チバニアンをみてきました

記事
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

房総半島南部を歩いてきました。そのまとめは後日行いますが,その中の一つ,千葉県市原市田淵の養老川沿いにみられる“チバニアン”の露頭の紹介です。マスコミにも取り上げられ一時期有名になりました。チバニアンというのは地質年代の期を表す一つです。地質年代の名前は,その時代の代表的な特徴を示す地層に関わる名前が付けられます。フランスとスイスの国境にあるジュラ山脈から名づけられたジュラ紀が有名ですね。そして,Chronostrat Chart という地質年代表に載せられ世界共通の名前になります。現在ではほとんどの地質年代には名前が付けられていますが,2か所のみ,単に,middle, upperとだけされていました(図1)。そのうちmiddleのところにchibanian(チバニアン期)が名づけられたのです(図2)。初めて日本の地名からつけられた地質年代名がはいりました。

図1 地質年代表2014年版
図2 地質年代表2022年版

このチバニアンが注目されるもう一つの理由には,地磁気が現在と逆(北極付近に地磁気の南極があった)になっていた時代(松山逆帯磁期といいます)から,現在と同じ状態(北極付近に地磁気の北極がある:ブルン正磁極期といいます)に移り変わるところに非常に近いことです。

図3 田淵で見られるチバニアン最下部の露頭

図3は露頭の様子です。地層は上総かずさ層群国本層(海成層の泥岩や砂岩層)の中にあります。GSSPのペナントのある所,地層のくぼんでいるところがその境界で,上位がチバニアン,下位側がカラブリアン(イタリアにあるGSSP)です。境界のくぼんだ部分には,長野県の古御岳火山からもたらされた白色の白尾びゃくび火山灰(77.3万前)が挟まっておりよい目印となっています。

 この場所は養老川沿いに面した露頭で,境界は露頭のかなり上位にありますが,見学用の階段がつけられ近寄って観察できます。チバニアンは77.4万年前から12.9万年前までの時代をいいます。フルネームでいえば,新生代第四紀更新世チバニアン期です。現在,近くにビジターセンターや駐車場もありますが,2,3年以内に新しいビジターセンターがつくられ,現在地のビジターセンターはなくなるそうです。

※Chronostrat Chartは毎年ではありませんが漸次変更されます。図1・図2は表の一部で印を加筆しました。
International Commission on Stratigraphy https://stratigraphy.org/chart
※GSSPは国際境界模式層断面 Global Boundary Stratotype Section and Point の略称です

コメント

タイトルとURLをコピーしました